TI千秋の未来永劫適正価格で囲い込み
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尽くしたものほど後悔の念に苛まれる

2009年10月22日

わざわざ取り上げるべき話題でもないことは承知なのですが、どうしても
一言言っておかないと気持ちが悪くてしょうがないので、お付き合いください。
 
 
いま、テレビでは、どのチャンネルを回しても、ある俳優の老夫婦の悲報を、
美しい夫婦愛の結末として取り上げています。
 
正直、私にはどうしてもこれを素直に受け止めることができません。
というか、人の死が関わっても、これほどまでに人は醜く偽れるのか、
という印象しかもてません。
 
 
この老夫婦については、献身的な老老介護の美談として、テレビ番組で特集が
シリーズ化されていました。
 
何の気なしに、その第一回目を見たとき、衝撃を受けました。
それは女優さんの変わり果てた姿でもなく、夫の心のこもらない言葉でも
ありません。
 
『まだ医者には掛かっていない』というナレーションにでした。
 
 
誰の目から見ても、全身にも精神的にも、相当に老人性の障害が進行した
状態に思える、その人を今まで一度も医者に連れて行っていない、という
絶望的な放棄状態だったわけです。
 
それが、この先は愛情あふれる夫の献身的な介護の美談として、心配そうに
医者と話をする夫の表情や、それを美辞麗句で語るナレーションで、塗り固め
られていくことに、反吐が出そうな思いでした。
 
 
それ以降、そのシリーズ商品となった特集を見たことは無かったのですが、
ここ数日、その女優さんが危篤になり、なくなられたということで、朝の番組
などで目にするようになりました。
 
 
 
そして、そのとき感じた『いやな思い』が、改めて何倍にもなってよみがえって
きます。
 
 
 
尽くしたものほど、誰かを失ったときに、足りなかった後悔の念に苛まれたり、
過去を思い改して自分を責めたりするものです。
 
それに、
『自分が~をした』
『自分にとって~だった』
『自分の今後は~だ』
『自分は悲しい』
なんて、自分を主体に物事を考えられるようになるまで、時間が掛かるものです。
 
 
 
この年になれば、いろいろな方の死やその後に立ち会ったり、あるいは
近しい人を亡くしたり、介護を少しの期間手伝ったり、そういったことが
あります。
 
その経験から、死を前にした人々や自分も含めて言えますが、亡くなった人を
大切にしていた人ほど、あのときこうしてあげればよかった、とか、あれは
こうしたほうがあの人のためだったのではないか、とか、そんな思いに捕らわれ、
自分の気持ちを語る言葉などもてないものです。
 
それをあんなに饒舌に、自分の悲しみを表現して、自分をほめて、自分の
将来を悲観して見せることができるでしょうか。
 
 
どんなに、自分はやれることはやった、と思おうとしても、他人から、あたなは
できるだけのことをよくやった、と言われても、その言葉である程度自分を納得
させることが出来るようになるまで、かなりの時間を要するものです。
 
ましてや、最初から医者に見せることもしておらず、介護をする中でその間違い
に気が付き、心を入れ替えたとしたらなおさらのはずです。
 
 
 
 
人様の人生にけちをつけることは間違いですし、ましてや人の死に関わることに
文句をつけるのは失礼極まりないことだとはわかっていますが、あれほどに
メディアが美談として煽るのを見ると、自分の心の底に黒いものがたまりそう
でしたので、ほんのわずかな方にでもこの気持ちを吐露したくて書きました。
 
 
人の死は痛ましいものですし、周囲の人間が亡くなった人を惜しみ、
残された人を励ますことは大切な行為です。
それだけに、この報道にはいやな思いが募ります。
 

テレビを見なくなったひとつの理由は、テレビをつけていると、どうしても
こうした、いやなものを見せ付けられてしまうからだと思います。
 

投稿者 senshu : 2009年10月22日 09:51



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