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追い出し規制法案は今の政権の危うさの一端
2010年2月25日
賃貸中の家賃が支払われない場合の賃借人の追い出しを規制する、いわゆる
追い出し規制法案が閣議決定されたようです。
国会で成立すれば、早期に施行されるようです。
これは、現政権が持つ危うさの一端を見事に表していると思います。
一見、弱者に優しく見えますが、そんな効果は全くない上に、貧富の差を
拡大させ、さらに大きな弊害を生みます。
まず、追い出しが規制されることにより、救われる“弱者”は、現在賃貸契約を
行っている、現入居者だけです。
つまり、一時的な効果しかありません。
なぜなら、賃貸する側にとって、出口(賃貸契約解約時)に大きなリスクが
あるなら、入口(賃貸契約時)にリスクマネジメントをするしか無くなります。
つまり、トラブルになりそうな人とは契約しないし、契約するにしても、
大きな担保を必要とするようになるだけです。
現在、家賃の不払いで賃貸借契約を解除しようと訴訟を起こした場合、最短
でも6ヶ月程度期間が必要です。
2ヶ月間家賃の入金が滞ってから訴訟を起こすと仮定すると、8ヶ月間、
未入金の期間が出来ることになります。
そうであれば、相応の保証金(敷金)を用意できるか、あるいは複数の
連帯保証人を用意できる人でなければ貸さない、というところが増えてくる
でしょう。
特に、質が良い物件ほど保証を必要とする傾向が強くなり、それでは部屋を
埋める事が出来ない物件は、コストを下げるために質を落とすでしょう。
持てるものと、持たざるものの格差を広げ、二極化が進むことになります。
また、賃借人のモラルの崩壊が、この傾向に拍車をかけることになるでしょう。
どうせ追い出されない、そう確信犯的に無賃で居座る賃借人は、審査の緩い
物件に集まり、賃貸の経営者にもこの呪縛から抜け出せない“負け組”を生みます。
追い出す方を一方的に“悪質”と決めつけていますが、これは国の無策のスケープ
ゴートにされているに過ぎません。
本来無宿人の救済は、国や地方自治体の役割のはずで、賃貸経営者の仕事では
ありません。
現政権の危うさ、とは、まるでこの問題を、“弱者と強者”とか、
“持てるものと持たざるもの”、もっと言えば“お金持ちとかわいそうな人”という
構図にすり替えている点です。
もしかしたら、福島瑞穂社民党党首を始め、政権の人は本当にそういう問題だと
思ってしまっているのかもしれません。それこそ大問題ですが・・・
賃貸経営というのは、現在の日本の社会の基本的仕組みに則って行われて
います。
資本主義の社会は、資金を使って、経営計画を立てて、収益を上げて
成り立っています。
不動産業だろうが飲食業だろうが、IT関連企業だろうが同じで、資金や経費
から収益が生まれれば経営は回りますし、収入が滞れば破綻します。
減価償却の終わっていないマンションなどからの年間の収益は、良くても
初期費用の10~20%程度です。
維持管理費、修繕費、借り入れた元金の支払いなど、毎月必要な費用は
賃貸収入でまかなわれていますので、経営規模によっては数件無賃で
居座られただけですぐに資金繰りが行き詰まり、破綻します。
住居を供給するものに社会的責任を負わせるなら、それに見合う
“経済的利益を守る手段”を与えてあげなければいけません。
例えばスーパーに行って、
『いつもここで食料品を買っていたけどお金が無くなったら今日から
タダでもらっていくよ』
と言っても、スーパーはものをくれないし、そんなことをしていたらすぐに
スーパーが破綻してしまうのと一緒です。
これでは収支計画に基づく正常な経済活動が出来ません。
正常な経済活動が出来ない“異常な状態”は、企業を破綻させて失業者を増やし
たり、景気を悪化させたりするだけです。
この法律は、
・元手が無い人ほど賃貸物件を借りにくくする
・賃貸物件の二極化を進め貧富の差を拡大する
・不動産経営を不安定にし、不動産業者の経営破綻を招く
という“効果”しかありません。
結果、家を借りられないものが定職に就くのも難しくなり、ますます
“一度落ちたもの”が這い上がれない社会を作ったり、不動産賃貸事業を停滞
させ、経済を悪化させたり、不動産事業者の破綻を招き、失業者を増やし
たり、ということになるでしょう。
こうした法律を為政者が責任を持って制定するなら、
・入金が滞ってから強制的に退去させられるまでの期限を明確に定める
・強制退去後のセイフティネットを整備する
・未入金期間の債権債務の扱いを明確にする
という規定までをセットにしなければならないでしょう。
派遣労働者を一方的に保護したら、派遣の職すら無くなってしまった、
という笑えない話の二の舞にならなければいいなと思います。
投稿者 senshu : 2010年2月25日 14:50
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